後立山(長野/富山) 針ノ木岳(2820.7m) 2022年11月3日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  3:30 扇沢市営駐車場−−3:34 登山口−−3:46 林道入口−−4:02 林道終点−−4:08 橋−−4:16 大沢小屋−−4:41 河原に出る−−4:48 右岸へ渡渉(アイゼン脱着)−−5:13 左岸へ渡渉−−5:29 右岸へ渡渉−−5:43 最終水場−−6:18 針ノ木峠−−7:05 針ノ木岳 8:04−−8:26 針ノ木峠−−9:22 蓮華岳 10:02−−10:41 針ノ木峠−−10:58 最終水場−−11:08 左岸へ渡渉−−11:17 右岸へ渡渉−−11:27 左岸へ渡渉−−11:31 河原を離れる−−11:45 大沢小屋−−11:55 林道終点−−12:06 車道−−12:13 登山口−−12:17 扇沢市営駐車場

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2022年11月3日 日帰り
天候快晴。西寄りの風強し
山行種類プチ冬山
交通手段マイカー
駐車場扇沢駅直下の有料駐車場より下に市営無料駐車場あり。ただしハイシーズンには早朝に満車になるので注意
登山道の有無あり。大沢小屋より下部は荷揚げ用の道を使ったが、小屋営業終了後も橋は撤去されておらず、近道として有用
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント文化の日だけ好天予想でその後は冬型の気圧配置に変わって北アは本格的積雪期に入りそうであり、天気はいいが西寄りの強風予想であり稜線で風がブロックされる針ノ木岳とした。標高2250m付近から雪が現れ始め山頂付近で10cm程度。昨日のものと思われる一人が往復したトレースが付いていたのでラッセル皆無だった。周囲の北アルプスは先週は雪が皆無に近かったが今週は薬師岳や裏銀座付近を中心に白くなっていた。この日は少なくとも9人が入っていた。雪は凍結しておらず登りはアイゼン無し歩いたが、渡渉ポイントの石表面が凍り付いてアイゼン必要


蓮華岳からの下りの途中で撮影した針ノ木岳。雪が付くと風景に締まりが出る


2週間前と比較して夜中の車に入りは非常に少なかった 夜中のゲート
堰堤の梯子は撤去されていなかった 橋も健在。降雪時期でもこのまま?
4秒露出で地面に置いて撮影 最初の渡渉。濡れた石表面が凍ってアイゼン装着
次の渡渉は距離が短くアイゼン不要 3つ目の渡渉はさらに水が細い
ライトの光。サーファー4人組がルートミスで沢を直登していた 標高2300m弱で雪が現れる
標高2400m付近 おそらく前日の足跡。大いに助かった
岩小屋沢岳に朝日が当たる 針ノ木峠。思ったよりも風が無い
針ノ木峠から蓮華岳側。トレース無し テント場。南斜面は雪無し
テント場から見た南側の展望 針ノ木岳山頂で出会ったサーファーパーティーの一人
登山道は北斜面なので雪が多くなる 斜面から多数の雪玉が落ちた形跡あり。積雪が増えると雪崩だろう
登山道が稜線に移ると雪が消える このピークが針ノ木岳
針ノ木岳山頂。1人の足跡しかない 針ノ木岳から見た裏劔方面
針ノ木岳から見た東〜南〜西の展望(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た西〜北〜東の展望(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た常念山脈、穂高、槍ヶ岳、乗鞍岳
針ノ木岳から見た裏銀座方面、薬師岳
針ノ木岳から見た立山、剱岳
針ノ木岳から見た後立山、北信の山々
針ノ木岳から見た志賀高原の山々と尾瀬、奥日光、袈裟丸連峰
針ノ木岳から見た越後三山、巻機山、平ヶ岳
針ノ木岳から見た奥日光の山々。日光白根は横手山の裏で見えない
針ノ木岳から見た袈裟丸連峰
針ノ木岳から見た奥秩父、八ヶ岳、富士山(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た南アルプス
針ノ木岳から見た尾瀬の燧ヶ岳と景鶴山 針ノ木岳からの下りですれ違った残りのサーファーパーティー
針ノ木峠直下を登る2人パーティ。私が蓮華岳に登っている間に峠に到着 針ノ木峠から蓮華岳に向かう
雷鳥の足跡。結構太い指をしている 深いところでは脛まで踏み抜きラッセルがきつい
針ノ木岳を振り返る
2754m峰への登り。風が強くよろけることも 蓮華岳が見えた
小動物の足跡が多数あり 最後の登り。風の影響か雪は少ない
蓮華岳西の肩から東の肩を見ている 蓮華岳東の肩(山頂)
蓮華岳西の肩から見た西半分の展望(クリックで拡大)
蓮華岳東の肩から見た東半分の展望(クリックで拡大)
蓮華岳東の肩から見た奥日光 蓮華岳東の肩から見た袈裟丸連峰
蓮華岳東の肩から見た両神山 幸手市在住の男性。針ノ木岳に向かっていった
蓮華岳側から見ると針ノ木岳登山道のトラバース区間は凄い傾斜 針ノ木峠
扇沢へ向けて下山開始 振り向けば太陽が眩しいが雪は全く溶けていない
標高2400m付近 最終水場は完全に凍り付いていた
最終水場から流れた水で登山道は分厚い氷に覆われる 標高2200m付近。もう雪は無い
標高2120m付近。左岸のトラバース開始 標高2050m付近。岩場を急降下する
上流の橋があった場所を右岸へ渡渉 下流を見ている
登りではこの赤い岩の崩れた場所から左岸へ渡る 下流の渡渉点よりやや上流で乾いた石を発見。アイゼン不要で渡れた
下流の橋があった場所。相変わらず岩の表面が凍っている 正面に爺ヶ岳南峰
振り返ると雪の針ノ木岳 河原から左岸の秋道に乗る
大沢小屋 帰りも荷揚げ道を使ってショートカット
完全に冬枯れして見通しがいい 篭川に架かる橋
右岸側の道 堰堤の下流側の梯子
林道終点 まだ林道には霜が降りたまま
林道の泥濘。左を迂回 林道
舗装された車道に合流 ゲート。黒部湖遊覧船の陸揚げ作業でトンネルが通行止めになるようだ
登山指導所テントが撤収された登山口 市営無料駐車場到着。ほぼ満車だが数台の空きがあった


 文化の日の祝日は長野県は好天予報だが、前線のしっぽに近く標高3000mでは17,8m/sの強い西寄りの風が予想された。なお標高3000mでの予想気温は-6℃前後であり、風速を考慮すれば体感温度は-20℃以下。これでは長時間風に吹かれながら歩くのは苦痛なので、西風を避けられるルートとして針ノ木岳を選択した。2週間前に登っているが、その時と比較して気温が低下して渡渉ポイントの飛び石は凍結している可能性が高く、軽アイゼンは必須であろう。積雪はあると思われるが、通勤途中で見える鹿島槍の白さはかなり薄くなっていて、針ノ木岳ならラッセルになるような量は無いであろう。

 もう11月であり山小屋の営業は一部のみ。扇沢周辺の小屋は全て営業終了しているので登山者は少ない。柏原新道近くの駐車場には車は皆無で、扇沢の無料駐車場でも2週間前とは比較にならないほど空きが多く、容量の1/5も入っていなかったと思う。歩く距離が最も短い一番奥の区画に駐車した。満天の星空だが夜間の冷え込みはそれほど強くはなく、翌朝は朝飯に火を使わなくてもいいかなとも感じるくらいだったが、大した時間はかからないのでガスで温めた飯を食ってから出発。予報では時間経過と共に気温が下がるとのことで、山頂到着は午前7時を目標として午前3時半に出発。

 無人のゲート横から登山道へ入り、今回も大沢小屋の荷揚げ道でショートカット。堰堤の梯子、篭川にかかる橋はあいかわらずそのままで、出発から 1時間もかからずに大沢小屋を通過。川原に出て頭上が開けたところで星空を撮影。オリオン座が高い位置に上がっていた。

 左岸から右岸への渡渉場所(撤去された橋がかかっていた場所)は、予想通り濡れた石の表面が凍り付いてツルツルで渡ることができないので軽アイゼン装着。渡った先はアイゼン不要なのですぐに脱ぐ。上流の橋があった場所でも同じかなぁ。これだけのためにアイゼンの脱着は面倒だ。

 右岸を登っているとかなり上方に強力なライトの光あり。かなりの距離があり稜線の登山者なのか私と同じくまだ谷間にいるのか分からないが、この時間帯に私の他に登山者がいるとは驚きだ。右岸で水が流れる場所はまだ凍っておらずアイゼン不要だったが、ここが凍り付くには時間はかからないだろう。

 上流の橋があった場所で左岸に移るが、ここは川幅が狭く飛び石を使う必要がなかったのでアイゼン不要で助かった。ここまで上がると先行の光の主はまだ谷間にいることが判明。いつの間にか距離がかなり詰まっていることが分かった。しかも一人ではなく複数人であった。そして光の主は私が今いる左岸の巻道ではなく谷を直登しているようであった。おそらく渡渉ポイントを見落としたのだろう。まあ、沢直登でも滝があるわけではなく今は雪渓は消えているので、それほど大きな問題なく登れるであろうが。ただし濡れた岩の表面が凍って歩きにくいだろうなぁ。巻道は乾燥しているので歩きやすい。巻道まで登る岩場に雪が乗っていたら厄介だが、南斜面なのでおそらく雪は無いと予想したがその通りであった。

 巻道が終わって再び河原に降り立つ頃には沢直登グループを追い越していた。彼らからは笑い声も聞こえており、登山道を外れても大きな危険は無かったようで良かった。右岸秋道に入って徐々に明るくなり始め、最終水場付近ではライト不要な明るさになると同時に積雪が現れた。河原で道が薄いので雪に覆われるとルートが分かりにくいが、尾根や谷など大雑把なルートは把握しているので、地形全体を見て谷を越えて右側の尾根に取り付くと、すぐ下側に雪に埋もれた登山道を発見した。

 徐々に積雪量が増えるが数cm程度でありスパッツは不要。積雪が増えると足跡が登場。おそらく今日ではなく昨日のものだろう。一人分が往復した登りと下りの足跡だった。積雪量がさらに増えてからはこの足跡のおかげでラッセル不要で楽ができた。

 北斜面の影響か雪は凍っていないので登りではアイゼン不要であった。谷筋から赤茶けたザレた斜面のジグザグ道も雪に覆われていた。

 針ノ木峠で足跡は針ノ木峠方面に向かっていて蓮華岳にはトレースは無かった。風が弱ければ蓮華岳にも足を延ばす予定だが、今のところ強風は無いがまだ西風がブロックされるエリアなので本当の風の状態は分からない。

 空のテント場は南斜面は雪は消えていた。登山道が尾根上から北側斜面に移ると積雪量が増えるが、先行者の足跡のおかげでロングスパッツ無しのままでも登山靴に雪が入ることは無かった。積雪量は深いところで20cm弱あるが平均して10cm程度。この深さでも岩が雪に隠れてしまい、雪の上に足を下ろしたら岩が隠れていてコケそうになったり。もっと雪が増えた方が歩きやすそうだが、登山道が北斜面を巻いている区間ではこれ以上雪が増えると雪崩の危険性が。今の状態でも斜面から雪玉が転げ落ちた形跡が多数みられた。一般的には新雪が50cmを越えると雪崩の危険が高まる。今週が安全に登れる最後の週だろうか。

 北斜面から尾根上に登山道が戻ると一時的に雪が消える。稜線上にはミニ雪庇ができて雪が吹き溜まっており、先行者の足跡はそれを避けて雪が無い南斜面を上がっていたのは正解だろう。吹き溜まりの雪の表面はクラストしているが内部はスカスカで膝まで踏み抜き、これを歩くのは苦であった。再び登山道が稜線北側に移ると柔らかいままの新雪であり、トレースが無くても歩きやすいだろう。

 針ノ木岳山頂に到着。予報通り西寄りの風が強く、山頂の岩陰に隠れて防寒装備を装着。でも予報よりは強くはなく、平均風速は10m/s強くらいだろうか。対岸には薄っすらと白い立山が見えているが剱岳は全く雪が無くて真っ黒。一番白いのは薬師岳〜裏銀座にかけての稜線で、穂高まで達すると雪が少なくなる。北に目を向けると白馬岳もほとんど白さが見られない。今年は近年でも降雪がかなり遅いと言えよう。

 東に目を向けるとこれまた雪が無い志賀高原の山々の向こうに尾瀬〜奥日光〜足尾山塊の山並みが点々と頭を出していた。残念ながら日光白根は横手山に隠れて見ることはできない。八ヶ岳、富士山、南アルプス、南アルプス深南部も良く見えていた。空気の透明度は申し分ない。

 しばし休憩して後続が上がってこないか待つ。沢を直登したグループが追い付いてくるだろうかと針ノ木峠から続く斜面を見ると1人の姿あり。追い越したのは3人組だったはずなので別の登山者だろうか。その登山者が私から1時間遅れくらいで到着。単独男性で話を聞いたら追い越したパーティーの一人であった。最終的にバラけて行動しているのはどうかとも思ったが、本人は気にしていない様子。おそらく後続部隊に大きな支障は無かったのであろう。あのパーティーは山屋ではなくサーファーとのことにびっくり。さらにはこの男性は今回が初めての登山だとの話でさらにびっくり。なぜにして最初の山が初冬の針ノ木岳なのか、選定基準が全く分からない。それでもチェーンアイゼンにそれなりの大きさのザックを背負っており軽装ではなかった。それに体力的にもまだ余裕があるようだし、話をしていても空気の薄さは感じていないようだった。サーフィンの運動量は知らないが、運動をしていない一般人よりはずっと心肺機能は鍛えられているようだった。4人組でやってきたとのことで、住まいは神戸、東海、湘南等点々バラバラとのことであった。

 やがて後続部隊もトラバース斜面に見え始めたが歩みは遅く、はしばらく到着しそうもないので私は蓮華岳に向かうことにし、スパッツを装着して6本爪軽アイゼンも付けて出発。軽アイゼンの効果は絶大で下りでも全く滑らず歩行スピードを落とす必要が無かった。下りで3人とすれ違ったがサーファー4人組の残りに違いなかった。最初の男性と比較してかなりお疲れの様子であったが、海とは勝手が全く違うので仕方なかろう。しかも雪があるし。でももうちょっとなのでおそらく山頂に立つことができたと思う。

 針ノ木峠まで下ってノートレースの蓮華岳に向かう。こちらのコースは尾根南側や尾根直上が多いので雪は少ないので早々にアイゼンを脱いだが、吹き溜まっている箇所は踏み抜いてタチが悪い。多少登山道を外れてもできるだけ雪が無いところを選んで歩いた。針ノ木岳ではそれほど強風とは感じなかったが蓮華岳のルートはモロに西風が当たるコースで、2754m峰への登りは強風にあおられて体を斜めにして歩いても登山道から外れたりした。

 2754m峰を越えると傾斜が緩んで風も弱まる。できるだけ雪が無いところを選んで進んでいくが、登山道が稜線北側に移った区間では雪があっても表面がクラストせず柔らかいままなので、かえってラッセルは楽で歩きやすかった。これも積雪が深くても15cm程度しかないからであろう。

 やがて蓮華岳山頂の一角、西の肩の祠に到着。冷たい西寄りの風が強く写真撮影だけして三角点に向かい、岩陰でザックを下ろして休憩。今日は日差しが強く風さえ避けられれば体感的にはそれほど寒くはない。といっても藪漕ぎでボロボロになったダウンジャケットを着ているが。おそらくここには誰も来ないだろうからボロでもいいだろうと気楽に休んでいたら単独男性がやってきた。通常は針ノ木岳が目的地だろうからこちらへ足を延ばすのは珍しいと思ったら、私とは逆で先に蓮華岳に登ってから針ノ木岳に向かうとのこと。短時間の休憩で針ノ木岳に向かい始めたが、同時に私も出発。彼はあちこちでスマホで撮影していた。この低温でも電池切れにならずに動いているのだから、まだスマホが新しいのかも。寒い時期になってからはスマホの電源が落ちて写真撮影できないとか、モバイルバッテリーごとポケットにスマホを入れて温めておき、写真撮影の時だけ取り出す姿もあちこちで見かけたからなぁ。

 針ノ木峠で彼は針ノ木岳に向かい、こちらは扇沢向けて下山開始。ジグザグ道の途中で軽アイゼンを装着し、最終水場の下部まで軽アイゼンのお世話になった。この間に2人とすれ違ったが、その後は登ってくる人はいなかった。

 往路で飛び石が凍って軽アイゼンを出した渡渉箇所は、その少し上流側で乾いた飛び石が利用できる場所を発見して帰りはアイゼン不要だった。往路で使った石は真昼間でも凍ったままだったので、気温は標高1850m付近でも0℃前後だったと思う。

 大沢小屋から先は往路と同じく荷揚げ道でショートカット。谷間で日中でも日が当たらない林道にはまだ霜が降りたままだった。無料駐車場は満車かと思ったら僅か数台だが空きがあった。


 帰宅後、強風に吹かれた影響か、鼻水が止まらずに風邪気味に。それでも大きな体調の変調は無く、翌日は丸一に休養日にしてその翌日に常念岳を目指して三股に入ったまでは良かったのだが、夜中になって発熱してしまい冬用シュラフにジャンパー+ダウンジャケットの装備でも震えが止まらず、翌朝は熱は体感的には夜よりは下がったようだが明らかに体調が悪いので登頂は諦めて帰宅した。私の登山歴は長いが体調不良のため登山口で引き返したのは今回が初めてだった。結局、翌日の日曜になってもまだ体調は回復せず、金曜日を有給休暇にして4連休にしたにもかかわらず、山に行けたのは初日の針ノ木岳になってしまい、残り3日は寝たきり生活であった。4日も寝たきりでは古傷の左膝に悪いようで、その後は膝の調子が悪かった。ちょっとずつでも毎日動かさないと駄目なようだ。

 

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